このドラマは地味ながら「人生とは何たるものか」ということを具体的に教えてくれる。
「3000円」をどう使うかで人生は変わるという祖母「琴子」。
登場人物それぞれに共感できるし、自分のことを改めて見直したくなる内容。
お金の話なようで、それは生き方に繋がると説く。人生の道しるべが学べる中身のあるドラマ。
原作を読みたくなった。
今、電気代を始め、色々なものが高騰し人々は慌てている。
電気代に悩む飲食業の方々の取材を他人事のように見ていたが、我が家の1月の電気代は、昨年の2万に対して今年は4万だった。
誰もが影響を受けている。
何もしなければお金の価値はどんどん下がるこれからの時代。
真剣に「生きる」ことを考えていかなければならない。
ドラマに出てくる家族と周囲の人々
祖母「琴子」の場合
このドラマの軸にもなる
「3000円の使い方」の提案者。
良質で好きな物に囲まれて暮らす琴子は貯蓄も充分な理想的な老後生活を送る。
だけど現状に満足はしていない。さらに「生きがい」を求める「琴子」は高齢ながらもバイトを始める生き方の手本のような女性。
母「智子」の場合
家事全般を毎日こなす専業主婦。
夫や娘たちに不満はあるが、自分の仕事としてやりこなす毎日。
癌になった時の夫の態度に絶望する。
熟年離婚を妄想するが、資金不足で踏み切れない。
父「和彦」の場合
「3000円の使い方」を実母「琴子」に教えられたはずのに。全てを妻に任せる仕事人間。
妻が病気でも、自分の食事の心配をするのんきな性格。感情表現が下手。家族の会話に入らず問題から逃げがち。
実は家族に気を使っていた口下手さん。
姉「真帆」の場合
祖母の教えの意味を子供の頃から理解する、節約家。お年玉の3000円は自分のお小遣いにプラスして欲しい財布を買う計画性を持つ。
それでも結婚後、夫や子供に「節約」を押し付けているのでは?と思い悩む時もあり。
自分の決めた道を歩く頑張り屋さん。
美帆(主人公)の場合
20代女子にありがちな一人暮らしのお洒落女子。
すぐ声を掛けられる地元の商店街が苦手だった。
デパ地下で買い物、お洒落で美味しいものに囲まれた生活を送っていたが、それがホントに幸せなのかと疑問を持ちはじめる。
さらに祖母の生き方に感化され、大きな目標を立てた貯蓄生活を実家で始める。
祖母の友人「安生」の場合
40代で定職に就かず、バイトでお金が貯まれば海外へ行き人生を謳歌する今時男子。
彼女もいるが、自信がなく責任が持てないため、結婚の選択肢はない。
祖母「琴子」に人生の意味を解かれ、考えを改め始める。
都会の一人暮らしに憧れる
家族の力を借りずに自由な一人暮らしをすることは素敵なことだ。
オシャレなハイブランドの服を着て、ワイン片手にデパ地下食材を食する生活は有意義に違いない。
主人公の「美帆」は、そんな生活がホントに自分がしたいことなのか疑問に思い始める。
幼少時代にお世話を投げ出した犬を今度はきちんと面倒を見たいと思い、一軒家で保護犬を引き取るという夢を持つ。
貯蓄が必要になった「美帆」は実家に帰る。
家賃や生活費の節約のためだ。
しかし母親「智子」は「美帆」に負担が親になっただけで、節約ではないという。
労働は社会とのつながり
働きたい理由
祖母「琴子」の生活は、理想の老後生活だが、決してそれだけでは満足していないところに「琴子」の力強さが見える。
高齢になると、雇う側も躊躇するが、「働く」ということは、生きる基本。何もしなくて良い老後は逆に寂しくむなしいのかもしれない。
働く場所がなければ「ボランティア」でも良いのではないか?「琴子」のように上手く就職できることは難しいかもしれないが、「胸の奥が熱くなり生きているという感じ」を体感できる人生が老後だからこそ必要らしい。
今は働くことが面倒だったり、生活のために働いているけれど、実は「働く場所」があることは恵まれていることで、それが自分と社会を結びつけ、生きる糧にもなっている。多少嫌なことがあっても「生きている実感を得るため」と考えるならば頑張れる気がする。
お金は労働の対価
お金を得ることは、生活のためでもあるが、自分が社会で起動している証拠=生きがいと「琴子」は言う。
子供が小さい時は、面倒ではあるが人との関わりも多かった。それが高校生となるとほとんどなくなり、専業主婦ならば家庭内が主な行動範囲となり、社会との繋がりは絶たれる。
「忙しい」と日々過ごしているときが充実しているのかもしれない。
暇を持て余す「老後生活」に入るまでに社会と繋がる「何か」を見つける必要があるようだ。
「ボランティア」に近いお小遣い程度の収入制度がある老人向けの仕事の需要はあると思う。
高齢化社会で老人ばかりの時代が来ているのだから、人生の最後まで働ける場所を提供してほしい。
人生の費用対効果なんてない
「生きる」ことに無駄なことはない。
失敗は無駄ではないし、むしろ経験となる。
「安生」の自信の無さが「彼女」の思いに堪えられない。
コストパフォーマンスなんて生き方に限ってないと「琴子」に諭された「安生」。
ようやく自分が「彼女が帰る場所」になりたいという考えを持ち始める。
自分が楽しければ良い
人生の主役は自分自身だから、周囲のことはあまり気にせず、やりたいようにやるのが理想だと思っていた。
そうはいっても、実際は周囲を無視しては生きずらいものだけど。そうできたらいいなと思う。
だから、「安生」的生き方ができる人に憧れる。
自分にはできないから。
だけど、生きる上で自分だけが楽しければいいというのは違う。
周囲の人々と関わってこその人生だということを諭された。
「安生」は、自由人だけどやはり1人では生きていない。自由な「安生」にとって彼女の思いは重たい。「彼女」は必要だけど自分なんかが彼女の人生に関わってはいけないと思っている。
結婚すればなおさら、自分たちだけのことを考えるわけにはいかない。
お互いの両親の考え方にも影響を及ぼす。
家族はまだ理解できる。両親を放置することはできないから。
地域住民はどうだろう?
近所付き合いは面倒ではないだろうか?
町内のイベントは参加すべきか?
細かく考えると無理なことも多々あるけど、自分本位な生き方が正解とはいかないようだ。
まとめ
家族ができると理不尽な事も多い。
でもそれが人生。覚悟を決める。
自分のためだけではなく、家族のために頑張るってすごいこと。家族の存在の大切を自覚しよう。
不安を数えるのではなく笑顔を数える。
夫婦のやり直しに大切なこと。
「美帆」の両親は、離婚の危機を乗り越えた。
「琴子」の教えの通り、「和彦」は定年後に向けて夫婦でハワイに行くために3000円を毎月貯蓄していた。
3000円の使い方が人生を変えた瞬間だった。
私は間違いなく「美帆」タイプ。
「今を楽しむことを優先せる、先々の事は気にしない」美味しいものやその場の勢いでパっと使ってしまう。
価値観は人それぞれがだからそれが悪いとは言えない。
ただ、その場が満たされたらそれで終わりの使い方ではなく「熟考しなさい」ということだろう。
3000円は例えばの話で、人生においていろんな局面に立たされた時、自分の為だけでなく、家族や周囲にとっても良い判断ができる人になるのが、かしこい生き方らしい。
お金を貯めるのは苦手だけど、幸せになるための貯蓄ならできるかもしれない。
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